私たちは「大峰山女人禁制」の開放をもとめます

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私たちは「大峰山女人禁制」の開放をもとめます

活動内容
◆「大峰山(山上ヶ岳)」の「女人禁制」を残したままの
「紀伊山地の霊場と参詣道」のユネスコ世界文化遺産登録への抗議と質問

ユネスコ世界遺産委員会様

ユネスコの貴機関では、去る7月1日、中国蘇州市において開催されたユネスコ世界遺産委員会において、新たな世界遺産として、日本の「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録を決定されました。しかし、紀伊山地のなかの「大峰山」(山上ヶ岳)は、21世紀を迎えた今日においても日本の女性差別である「女人禁制」という陋習で、女性の入山を拒否しています。

私たちは、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されるということを知って以来、男女平等という人権の立場から「大峰山」」の開放を求める運動に取り組んできました。全国で233名が呼びかけ人となり、本年1月より全国で署名活動をとりくみ、日本全国のみならず海外からも寄せられた署名は12,418筆になりました。そして4月には、貴機関をはじめ日本政府、関係する各機関や寺院に署名を渡しました。貴機関には送付しました。それに対する返答を私たちは何もいただくことができませんでしたことは大変残念に思っています。

 女性差別が明確な事実に基づき、今回貴委員会が、「大峰山」を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」を世界遺産に登録されましたことは、誠に遺憾であり、ユネスコの精神をも逸脱する「女人禁制」を合意したことに抗議をします。
 この度の決定について、下記の質問を行いますので、来る2004年9月10日までにご見解を連絡先までお寄せくださいますようお願いします。
【質問】
「紀伊山地の霊場と参詣道」には、「大峰山(山上ヶ岳)」の「女人禁制」区域が含まれています。しかし、現在、「大峰山女人禁制」の区域には、男性なら信仰の有無に関係なく、登山目的であっても登ることができます。しかし、女性は「大峰山」信仰の修行者であっても登ることができません。すでに世界遺産に登録されたギリシャ正教のアトス山と比較検討するなら、「大峰山」の今日のありようは、アトス山とまったく異なります。アトス山は「修道院」として機能しており、そこには、修道者のみが生活しています。また、アトス山を訪問するには、厳格な処置がとられており、許可が必要であり、ギリシャ正教の信仰者でないものは1日に10人に限られます。

一方、「大峰山」では、1年のうちの「戸開け」(5月3日)から「戸締め」(9月23日)の間の何日間を定めて修行目的の男性が入山しますが、修行者以外の男性も登山目的で自由に入山しているのが現状です。また、時代とともに、その禁制区域を恣意に定めており、「大峰山」の宗教的伝統は、世俗的目的のために形骸化しているといっても過言ではありません。しかも、いまや「大峰山」信仰は女性信者の人数が増えているにもかかわらず、彼女たちもいっさい入山を拒否されています。

さらに「女人禁制」区域について、結界門からの山道は村道という「公道」であるとともに、この辺り一帯が国立公園に指定されています。これは「大峰山」の「女人禁制」が、いかに女性の人権や時代社会の秩序を無視した暴挙であるかを如実に示しているといえます。ユネスコの精神のみならず国連の「女性差別撤廃条約」や、日本の「男女共同参画社会基本法」や「奈良県男女共同参画推進条例」に反し、「道路交通法」にも違反しており、性差別による重大な人権侵害だといわざるを得ません。

21世紀を迎え「男女平等」の実現が世界の潮流となった今日、以上の事実を踏まえた上で、ユネスコ世界遺産委員会においての世界遺産決定における私たちの質問に回答をお願いします。

1 世界文化遺産登録にあたって「大峰山女人禁制」の開放を求める会が送付した12,418の署名をどのように取り扱い、審議されましたか
2 世界遺産登録への決定に、「大峰山」(女人禁制)の問題はどのように審議されたかの経過とその見解を教えてください。

 以上、本質問への誠意ある貴機関のご回答をお願いします。
2004年8月2日
世界文化遺産登録にあたって 「大峰山女人禁制」の開放を求める会
       共同代表 大林美亀 木津 譲 藤原智代 源 淳子